Electronic paper
1. 定義
ハードコピー(印刷物による表示)とソフトコピー(電子ディスプレイによる表示)の機能のそれぞれの長所を併せ持つ第三のヒューマンインターフェースの総称。特に、“読む”という行為をストレスなく可能にすることを大きな達成目標のひとつとした新しい電子メディアの概念。
ハードコピーを書き換え可能な表示媒体(リライタブルペーパー)に進化させる考え方と、電子ディスプレイによる表示を印刷物(紙媒体)に近い表示状態に近づけようとする考え方に二分され、最終製品もこの2つに大別される。一般に、前者をリライタブルペーパー、後者をペーパーライクディスプレイと分けて表現されるが、広義の「電子ペーパー」という表現には、(1)リライタブルペーパーとペーパーライクディスプレイを合わせた総称、(2)リライタブルペーパー単体、(3)ペーパーライクディスプレイ単体、(4)リライタブルペーパーやペーパーライクディスプレイに用いられている表示原理、の意味があり、明確に使い分けされているわけではない。(4)については例えば、電子ペーパーを用いた携帯電話、といった表現がされている。電子ペーパーは現状のハードコピー(印刷物)とソフトコピー(ディスプレイ表示)の各々の長所を併せ持つ理想メディアをめざす技術目標としてとらえることができる。

2. 歴史
近年の電子ペーパーへの関心は、第三次ペーパーレス問題として捉えることが出来る。
第一次は1980年初め頃のパソコンの普及に伴い情報はCRTモニターで見られ、紙はいらなくなるという狼少年的ペーパーレス化であったが、その後、情報量の増加に伴い、紙の使用量は増加の一方をたどった。
第二次は1995年頃からのインターネットの普及に伴い、電子本、オンライン本などが活字本を減少させるとした出版の電子化であったが、目に見える発展はしていない。これらに共通な問題はデジタルコンテンツを読むための人に親和性ある、使い勝手のよい表示メディアが無かったことが大きな原因として挙げられる。
第三次は、2000年頃から、環境問題が背景となって紙の使用量の削減が課題になると共に、CRTや従来の液晶表示とは異なる特徴を有する新規な表示方式が次々に提案され、紙に替わり得る表示メディアへの期待が高まった。電子ペーパーは、これらの問題に解答を与えるためのものであり、紙メディアのいくつかの特徴ある機能を併せ持つヒューマンフレンドリーな表示メディアと位置付けられる。同時に、三度目の正直としてまず実用化を実現する事が強く期待されている問題でもある。このような中で、日本においては2004年に、電子ペーパーの表示方式を用いた電子書籍端末が2種類市販されるに至っている。

参考文献:[1]平成15年度拡大する電子ペーパー市場と機械産業の取り組みについての動向調査報告書、日本機械工業連合会、ビジネス機械・情報システム産業協会 (2003). [2]紙への挑戦 電子ペーパー、面谷 信、森北出版 (2003).