液晶状態の一つ。語源は、コレステロールの水酸基をハロゲンで置換したハロゲン化合物や脂肪酸、炭酸とのエステル化合物などのコレステロール誘導体の多くが液晶性を有することにある。コレステロール誘導体に限らず、分子内に不斉炭素を有し、かつネマティック液晶構造を形成するのに都合の良い幾何学的な分子の形を持つ化合物はコレステリック液晶となりうる。[1]広義では、カイラルネマチック液晶(別項参照)を含む。
コレステリック液晶は、棒状の分子が幾重にも重なる層状の構造を有し、層内では、分子配列が一定の方向に揃った平面が、その配列方向を少しずつ捩れながら積み重なった螺旋構造(コレステリック相)を有している。この捩れの軸をヘリカル軸といい、捩れのピッチをヘリカルピッチと呼ぶ。ヘリカルピッチにより、特定の波長の光を反射することができる。
コレステリック液晶を基板で挟むと、ヘリカル軸が基板に垂直に並ぶプレーナ状態を示す。これに電圧印加などを行うと、ヘリカル軸が基板と平行になり(フォーカルコニック状態)、光を透過する。更に電圧を掛けると、電界方向に液晶分子が並び(ホメオトロピック状態)、この状態から急激に電界を除去すると、プレーナ状態に戻る。背面に黒色層を設けることで、フォーカルコニック状態で黒色を呈することが可能になる。プレーナ状態、フォーカルコニック状態とも、電界を除去しても安定であり、メモリー性を有する電子ペーパーを作成することができる。なお、他に、温度変化による色彩変化するもの、ガスなどに感応して色彩変化するもの、がある。
更に、ヘリカルピッチを調整することで、種々の色を呈することが可能であるため、フルカラー表示も可能である。
単色の表示パネルはナノックス株式会社などが開発。2006年には、富士通研究所がフルカラーパネルを展示会等で参考出品している。
コレステリック液晶
参考文献:[1]液晶の基礎と応用、松本正一・角田市良、工業調査会
関連サイト:http://jp.fujitsu.com/